高校野球は伝統があり素晴らしい。でも時代が変化している中で、できることがあるのではと思いました。高野連のルール内でやれることをやろうと。学校側が改革に取り組もうとしている中、何かを残せるのではないか。様々な野球を見てきた中、選手が着ていて楽しく頑張れるようなユニホームも必要だと思いました」

 サンプルを作成をしている際、どこかで違和感を感じるようになった。頭をよぎったのは米国で経験したエンジョイ・ベースボール。その中の要素にはカッコいいユニフォームも含まれる。紫色はマイナーリーグや大学で使用しているチームもある。目立つ上に強くてクールな印象を受けたことを思い出した。

「伯和ビクトリーズが頭に浮かびました。東賢孝監督(当時)は広島商の同級生なので連絡してユニホームを送ってもらいました。だから伯和の真似なんです(笑)。手元に届いたものを見て、うちにぴったりだと思いました。選手に着させて意見を聞くと、『めっちゃかっこいい。この方が良い』となりました」

 地元広島の社会人野球の強豪チームが脳裏に浮かんだ。当時チームを指揮していた東監督が高校時代の旧友ということも決断につながった。高野連の規則には「上下の色合いが異なるもの(ツートンカラー)は使用できない」という項目はある。しかし全身同色なら問題ないということもわかっていた。何より生徒たちが前向きだったことが背中を押した。

「伯和のイメージを残しつつオイスカらしいものを作ろうと。そして学校長の後押しも心強かったです。実際のサンプルが想像以上に派手だったので『良い色なんですけどやり過ぎですかね?』と訪ねた。『何を弱気になってるの?監督らしくない。挑戦しないとダメだ』と逆に気合を入れられました」

「うちの家族もポジティブな意見をくれたのも大きかったです。妻は『すごい色だけどカッコいいと思う」と即答。中学、高校の2人の娘も『全身紫が絶対に良い。社会人っぽくて良い』と言ってくれました。仮に家族からネガティブな意見が出ていたらトーンダウンをしたかもしれません」

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