全身濃い青色だった熊本・文徳高のユニフォームもかつて話題に

 生徒たちの決定で進み始めたプロジェクト。紫色のカラーリングが想像以上のインパクトを与えることは容易に想像できた。しかしその都度、関係者や家族の理解を得ることができた。信念が揺らぐことなく実現に向け歩みを進めることができた。

「高野連に確認したら『ツートンでなければ色は問題ありません』ということでした。初めて公式戦で着たのは3月26日の春季大会です(西部2回戦、磐田農)。最初は相手チーム、審判、高野連の人など誰もが見ていました。関係者の方々でも知らない人が多かったですが、『すごいの作ったな」と笑ってくれました」

 野球部部長の谷野正成教諭は副部長を2年務めた後、部長として3年目を迎える。4年目の永井監督と同じ時間を歩み、指導、采配を見続けてきた。今回のユニホーム変更に関して一番近くで接してきたが、どのように感じていたのだろうか。

「高野連の規則は大丈夫でも世間に対しての印象が心配でした。ネットなどで好きなことを言える時代です。誹謗中傷で選手、学校に逆風が吹くかもと。でも想像以上に好意的な声が多かった。甲子園でユニホームを見たいというような声もいただいた。時代は流れているんだなと感じて、うれしかったです。目立つ分だけ良くも悪くも注目されます。ユニホーム負けしないで誇りを持ってプレーして欲しいです」

 過去には文徳高(本)の上下が濃い青色のユニホームは話題になった。Y校こと横浜商(神奈川)のスカイブルーも野球ファンには馴染みのもの。また同じ静岡・浜松開誠館高はグレーの上下に赤のロゴでMLBダイヤモンドバックスを彷彿させる。白を基調とした伝統的なスタイルとともに、カラフルで目を引くユニホームが存在するのは見ている側としても楽しめる。

 永井監督は他の高校にも続いて欲しいという思いもある。

「ユニホームはネット記事で取り上げられました。好意的な声が多くてうれしかったですね。個人的にも見ていて楽しくなるユニフォームが好きです。将来的にツートンも許可が出ると良いですね。着こなしのバリエーションも増えて楽しい、なんて考えると夢が膨らみます。野球人口が減っている中で『カッコいいユニホームを着てみたい』という動機があっても良いと思います。オイスカだけではなくて野球界が盛り上がって欲しいです」

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