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彼らの音楽カタログはめちゃくちゃ幅広くて、いまだにファンは「え? こんなものもあるんだ?!」と過去を知ることになる。今回、この映画を観た人に「いままでスパークスを知らなかったけど、25枚のアルバム全部買う!」と言ってもらってうれしかった(笑)
――彼らは後進にこれだけ影響を与えていることを、どう考えているでしょう?
彼らは過去にはそれについて、あまり意識していなかったみたいだ。例えば1976年ごろにイギリスでパンクムーブメントが起きたとき、それ以前のピンク・フロイドやジェネシス、イエスすら「恐竜のような存在」と若者たちから煙たがられた。そんななかでもなぜかスパークスは若いミュージシャンにも好かれていたんだ。セックス・ピストルズやスージー・アンド・ザ・バンシーズもスパークスが好きだった。でもいまのようにSNSがあったわけじゃないから、ロンやラッセルはそのことを当時は意識していなかった。彼らは最近、そのことを知ったんだ。この映画でインタビューに応えてくれた作家のニール・ゲイマンやレッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリー、俳優・コメディアンのマイク・マイヤーズが自分たちのファンだとは知らなかった、と本人たちも言っていたよ。
――ロンとラッセル兄弟の関係性はとても良好に感じます。
2人がうまくいっている理由は、お互いを認め合い、高め合っているからだと思う。2人に接してみて、彼らはそれぞれができることを、それぞれにしているのだと感じた。ロック界の兄弟はオアシスのノエル&リアム・ギャラガー兄弟しかり、キンクスのレイ&デイヴ・デイヴィス兄弟しかり「どちらがリードシンガーか」「どちらがスターか」で大抵もめる。でもロンは昔から「自分はフロントマンにはなりたくない」と言っていて、弟に対して変なライバル心がなかった。それも2人がよい関係を保てた理由かもしれない。
――監督もまた自分の「好き!」を追求し、それを作品に昇華してきたと思います。あらためて彼らとの共通点を感じましたか?
この映画をつくる前はそれほど思わなかったけれど、作り終えてみて、やっぱり自分と彼らには似ている部分があるのかな、と感じた。アートにおいて、何より必要なものはパッションだ。それがないと間違った理由(お金や名声、成功など)でアートを追求することになってしまう。僕にとっても一番大切なのは「これが好き!」というパッションで、ロンとラッセルを突き動かしたものも同じだと思う。
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