大阪大学病院消化器外科の三吉範克医師(本人提供)
大阪大学病院消化器外科の三吉範克医師(本人提供)

医療分野でのAI(人工知能)活用は世界的潮流だ。また、手術支援ロボットなどの医療技術も大きく進化している。今後、デジタル技術の発展が進むと、医療や医師はどう変わっていくのか。週刊朝日ムック『医者と医学部がわかる2022』で取材した三吉範克医師(大阪大学大学院消化器外科学部内講師)に話を聞いた。

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 医療の進歩は、私たちに健康長寿や病気の治癒といった多大な恩恵を与えてくれている。

 外科領域でいえば、かつてはおなかを20センチほど開ける開腹手術だったが、今は小型カメラを用いた低侵襲の腹腔鏡下手術がスタンダードとなり、さらにその一部は「ダ・ヴィンチ」や「hinotori」といった、手術支援ロボットを用いた腹腔鏡下手術に置き換わった。

 ロボット支援腹腔鏡下手術では、執刀医は患者の横ではなく、手術室の少し離れた場所に設置されたサージョンコンソール(操縦席)でアームを“操作”する。その様子はまるでゲームをしているようだ。

 こうした手術の進化は、患者に大きなメリットをもたらした。手術で負う患者の傷は1~2センチが数カ所。傷口が小さくなったことで、出血量が減り、術後の痛みも軽減。結果、術後の回復は早くなり、入院期間も短くなった。

「僕が外科医になった20年ほど前は、まだ開腹手術がメインでした。それが、あっという間に腹腔鏡下手術がメインとなり、ロボット手術が台頭してきた。その頃からでしょうか、『これからは、さまざまな患者や病気の情報を集約して行う手術が要求されるのではないか』と考えるようになったのは」

 こう話すのは、大阪大学大学院(大阪府吹田市)消化器外科学部内講師の三吉範克医師だ。自らもロボット支援手術を行う三吉医師は、手術の未来について、AIの情報処理やディープラーニングを駆使した“進化型のロボット支援手術”が、一般的になるのではないかと想像しているという。

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画像処理による術前シミュレーション