日々の生活に浸透しつつある「生成AI」。ChatGPTで調べものをする小中学生も増えています。とはいえ、「生成AIに頼りすぎて大丈夫?」と心配になる保護者も多いのではないでしょうか。アメリカ・シリコンバレーと日本を行き来しながら、2人の子ども(中2・小2の姉妹)を育てている小松原 威さんに、子どもとAIのリアルな話を聞いてみました。
【表】学力の高い子の家庭、8つの特徴はこちら(全8枚)中高生を中心に「カンニングアプリ」が大流行
最新のAI動向についてくわしく、企業向けに講演も行っている小松原さん。日本で行われたある勉強会では、シリコンバレーにおける教育現場での生成AIの活用について、驚きのエピソードを語ってくれました。
なんと、米アップルのApp Store「教育」カテゴリのランキング上位10位のうち、半数近くが“宿題をAIが手伝ってくれる”、いわゆる「カンニングアプリ」だったというのです。
「『カンニングアプリ』とは、宿題の答えや解き方をAIが教えてくれるアプリです。たとえば、算数や理科の問題をスマホで撮影すると、AIが瞬時に解答と解き方を示してくれます。親としては『これを使った場合、宿題の意味があるのかな……』と、複雑な気持ちになりますよね」と小松原さん。
なかでも人気なのは、TikTokの親会社・バイトダンスが開発する「Gauth(ガウス)」。算数や理科の宿題を撮影すると、解答から解き方までが一瞬で表示されます。



また、アメリカの中高生(15~18歳)が生成AIを活用している用途として、1位が宿題の手伝い、2位がアイデア出し、3位がひまつぶし、4位が翻訳、5位が資料/メール作成というデータもあるようです。
「学校側は実際のテストや論文などでは、AIの不正利用を防ぐ対策はしているようです。例えば、文章作成問題などではAIがつくった文章ではないかを判定するツールを使って、子どもたちの不正を見抜くんです。でもそのうち、その判定ツールでもバレないようなツールが誰かによってつくられる。子どもたちも賢いからさらにそれを探してきて……という『いたちごっこ』になっています」
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