いったいなぜ、トイレのIoTなのか。
「猫は種の特徴として、泌尿器疾患が多いと言われています。ですが、痛みを隠すという傾向のある生き物でもあるので、飼い主さんが見て猫ちゃんの様子がおかしいと感じられる頃には手遅れのことも多いんです」(トレッタキャッツ取締役の松原あゆみさん)
■膀胱炎が見つかった
泌尿器疾患の予兆は、尿の量やトイレの回数、体重の変化などに表れる。変化にいち早く気づいて病院で検査することができれば、病気の早期発見、早期治療につなげられる。
ユーザーからは「トレッタのおかげでトイレの回数が増えたことに気づき、動物病院に連れていって検査をしたら膀胱炎が見つかった」などの声も届いているという。
この小さなトイレに詰め込まれた最新技術は複数ある。まずはセンサープレート。人の体重計を思い出してみてほしいのだが、体重計に乗るとしばらくじっとしている必要がある。動くと数字がなかなか定まらず、計測が難しいのだ。動き回る猫の体重を測る独自の計測技術は、特許も取得している。
もう一つは、なんと世界初となる猫に特化した顔認識カメラ。猫は一家庭で複数匹飼われていることが多い。猫たちがトイレを共有している場合でも、このカメラが搭載されていることで、どの猫がトイレに入ったのか識別してくれるのだそう。首輪につけたタグで個体を識別する商品もあるが、トレッタの場合は猫に何もつける必要がないのが売りだ。さらに家を留守にしている時でも、猫がトイレに入った時の映像を確認することができる。
健康に長生きしてほしい。言葉を話さないこの子の気持ちを少しでも知りたい。飼い主と“うちの子”をテクノロジーがより強くつないでくれる。(編集部・高橋有紀)
※AERA 2022年4月25日号より抜粋