AERA 2022年4月25日号より
AERA 2022年4月25日号より

■症状あっても通院せず

 この病気の場合、自分はなぜ起きられないのかと本人も苦しんでいるケースが多い。体の病気のため、気持ちで乗り越えられるものではないのだが、「怠けている」と叱責されれば、自責の念が強くなり、うつ病になることもある。男子生徒の場合、家族と学校が病気に対する理解があったため、そこまでには至らなかった。また、中高一貫校に通っていたため、付属の高校に持ち上がることができた。

「高校受験があったら大変だったと思います」(母親)

 親ができることは、自律神経が整うのを待つことだけだ。

 日本小児心身医学会は不登校や子どもの自殺の予防策として、各学校での健康診断に心身症のスクリーニング調査を取り入れる提案を始めている。和歌山県紀南地域で小学5年から中学3年の4千人を対象に行った問診形式の調査では、得点が高いハイリスク傾向となった子どものうち78%が、体になんらかの症状があるものの、通院していないことが分かった。なぜ受診していなかったかを尋ねた欄には「親には伝えていない」「友人にも言えない」「自分の気持ちはだれも分かってくれない」などの回答が見られた。

 養育者からの回答には「気持ちの問題だと思っていた」「どこにいけばいいのか分からない」という意見が上がった。ハイリスクと出た家庭に対して受診を促すと、受診をした子どもには明らかに症状の改善が見られたという。

「まずは、学校や小児科が窓口となり、専門医とつなげる仕組みをつくる必要があると思っています。心身症はADHDなどが関係する場合もあります。行き渋りや心配事がある場合、まずは、小児科を受診してください」(村上さん)

 こじれる前に手を打つことで救われる子どもは増えそうだ。(フリーランス記者・宮本さおり)

>>【前編はこちら】「学校行きたくない」登校初日に学校で嘔吐も…子どもの不登校は10年間で1.6倍も増加

AERA 2022年4月25日号より抜粋

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