そんな時に、韓国の新大統領がバリバリのタカ派で中国や北朝鮮と戦う姿勢を示してくれれば、米国にとっては好都合。元々日本は米国のポチで、何も言わずとも自ら尻尾を振って米国に従う。韓国もポチになってくれれば最高だ。米国は、この二匹に対米忠誠心を競わせれば、労せずして東アジアの軍事的負担を両国に肩代わりさせることができる。
既に尹氏は、中国が最も嫌がる米軍の「サード(高高度防衛ミサイル)」の追加配備を公約とし、米紙ワシントン・ポストのインタビューで、北朝鮮は「韓国の主敵」であると明言した。バイデン大統領がこれを歓迎して韓国を持ち上げれば、岸田首相も負けじとさらなる対米忖度行動を取る。自民党のタカ派もそれを煽るはずだ。こうして、両国は対中・対北関係悪化のスパイラルに引きずり込まれる。
幸い韓国国会では、尹氏の属する「国民の力」は少数派で、行き過ぎた尹氏の対米追随路線には多少の歯止めがかかる。日本は、尹氏の言動に安易に引きずられてはならない。むしろ、米中戦争に巻き込まれないような外交戦略を作るために、韓国と協力できないのかを真剣に考えるべきだ。
※週刊朝日 2022年5月6-13合併号より