ひとつ先の塁へ。これは昨季就任した三浦大輔監督がかねてから目指していた野球であり、持ち前の長打力を武器に、足を使ったり打席で粘るなど相手チームにとって嫌な攻めをすることが選手たちには求められている。
ただ、走塁意識の高まりはリスクがあることも忘れてはいけない。オープン戦では遊撃手のレギュラー候補である森敬斗が一塁からの全力疾走で帰還する際、三塁手前のコーナリングで歩幅が合わず右太もも裏の肉離れと左足首捻挫を負った。さらに4月19日の阪神戦(横浜)では、主力の宮崎敏郎がバッテリーミスの間に次の塁を狙う走塁中に右太もも裏を負傷し、後日登録抹消されている。森のような伸び盛りの若手や、要である宮崎の離脱は痛手であるが、チームとしてここに取り組んでいかなければ求める結果を得ることはできず、選手たち自身のコンディショニングの管理も含め、どう意識づけをしていくのかチームにとって課題になるだろう。
コロナ禍により中止があったため試合数は少なく(22試合)、戦力も揃ってはいなかったが、チームの打撃スタッツを見れば、得点はリーグ3位タイの83点、本塁打は同じく3位の18本と数字を残している。大きな懸念があるとすれば勝負の鍵となる代打だろう。10年ぶりにDeNA復帰したベテランの藤田一也が気を吐いてはいるが、チームの代打率を見ると.100と苦しい状態が続いているので改善が求められる。
一方、投手陣はといえば開幕ローテーションに名を連ねた石田や濵口を欠くなか、当初はブルペン待機だった上茶谷大河がチャンスを掴み4月16日のヤクルト戦(横浜)でマダックス(100球未満、完封)を達成するなどしているが、先発陣全体を見れば早い回での失点が多い印象だ。先発陣のQS(6回、自責点3以内)率は約45%とリーグ下位であり、粘り切れていない。半面、砂田や山崎を欠くリリーフ陣の奮闘が見られる。3年目の伊勢大夢や昨年トミージョン手術から復活した田中健二朗、2年目のドラフト1位である入江大生、育成契約から這い上がってきた宮國椋丞、頼れるサウスポーのエスコバー、そして4月24日の広島戦(マツダ)ではサヨナラ負けを喫したが、山崎がいない状況で回またぎも辞さずクローザーを務めている三嶋一輝らの献身が目立っている。