物語では、大きな困難に直面しながらも、ショーへの信念を燃やし続けるコウイチの姿が描かれる。それは、コロナ禍においても、エンターテインメントの火を灯し続けるために、奔走してきた堂本光一自身の姿と重なる。
人生を変えた舞台
これまでは、年ごとの相手役によって変えてきた相手役のテーマ曲を、今後の使用も想定し、新曲「MOVE ON」としたのも新しい試みだ。堂本にとってのライフワークである「SHOCK」シリーズを、より強固なものにしていこうという決意を感じた。
「MOVE ON」は、華やかでありながら、ショウリの内面が燃えていることを感じさせる楽曲だ。途中、挿入される「それでも俺は走りたいんだ」という力強い言葉が印象に残った。
14歳でジャニーズ事務所に入所した佐藤にとって、「SHOCK」は初めて直に観たエンターテインメントであり、人生を変えた舞台でもあるという。
「最初に光一君に『殻を破らなきゃいけない』とか『泥臭い部分を見せなきゃいけない』というようなことを言ってもらって、それを目指して今日までやってきました」
そう率直に語り、初披露となる「MOVE ON」について、「歌詞にもあるが、声をからすぐらい想いを込めて歌うようにしている」と語った。その言葉通り、歌声からはヒリヒリとした切実さが伝わってきた。
一方、4月10日から帝劇で満席の観客の前で上演される「Endless SHOCK-Eternal-」は本編のストーリーの3年後を舞台にし、カンパニーがコウイチとのエピソードを回想するスピンオフ的な作品だ。
20年から上演される「Eternal」は、新型コロナウイルスの感染リスクを低減するため、客席上空のフライングを無人の舞台上空でのパフォーマンスに変更し、殺陣はストップモーションや映像を使用、舞台セットもシンプルにしている。
走り続ける意味とは
今回は演出をさらにブラッシュアップし、舞台上のオーケストラが舞台下のオーケストラピットに据えられ、舞台上の自由度が上がった。
序盤、コウイチが「ショービジネスの世界では“Show must go on!”という言葉をよく耳にします。皆さんにとって、“Show must go on!”の、走り続けるという意味とは何でしょう?」と問いかける。
そして、まだ自らが生きていた3年前のブロードウェーにおける「仲間たちとともに明日の未来を夢見ていたあの頃」を回想する。