柏ユースから世界の舞台で活躍する選手に成長した酒井宏樹
柏ユースから世界の舞台で活躍する選手に成長した酒井宏樹
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 Jリーグが掲げた重要な基本理念である「地域密着」は、発足から30年が経過した中で着実に根付いてきた。その中の事象の一つに、保有が義務化されている下部組織の存在がある。2019年からは「ホームグロウン制度」が導入され、これまで以上に「育成力」が問われる中、各クラブはこれまでどのような選手を輩出してきたのか。J1在籍10年以上の24クラブを対象に“ユース最高傑作”を選出し、全3回に分けて発表したい。今回は前編。

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■札幌:西大伍

 1987年8月28日、北海道生まれ。技術と戦術眼に優れた日本有数の右サイドバック。中学時代から札幌U-15で活躍し、当時はFW。U-18時代には中盤としてプレーし、2005年の全日本ユース準優勝に貢献し、同学年の藤田征也とともに2006年にトップ昇格。2008年にJ1で27試合出場3得点、2009年はJ2で41試合出場7得点と躍動した。その後、新潟への期限付き移籍を経て、2011年に完全移籍した鹿島で長くレギュラーとして活躍。2011年6月にA代表デビューも果たし、2017年、18年にはJリーグのベストイレブンに選出。2019年から神戸で2年間、浦和で1年間プレーした後、今季から札幌に復帰している。西以外には、昇格初年度から活躍した石井謙伍、サポーターから「札幌の誇り」と呼ばれた藤田征也、空中戦に強いセンターバックの奈良竜樹、前貴之、前寛之の兄弟などがいるが、現時点では西の実績が上だ。

■仙台:奥埜博亮

 1989年8月14日、大阪府生まれ。ジュニアユース時代から仙台に所属し、ユースから仙台大を経て2012年に正式加入(2009年から3年間は特別指定選手として所属)。豊富な運動量でFWからボランチまでこなす万能性を持ち、守備の献身性と得点能力を兼備。2015年から4年間は主力として活躍し、特に2015年はチームトップタイの7得点を決める働きを見せた。2019年からC大阪に完全移籍して以降も激しいレギュラー争いに競り勝って結果を残し、昨季までJ1通算224試合に出場して34得点(J2通算55試合7得点)をマークしている。仙台ユースからトップ昇格を果たした人数自体が少ないため、奥埜のさらなる活躍とともに、今後の生え抜きスター選手の出現に期待したいところだ。

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