宝塚歌劇団では男役を15年務めた。今年2月には、松竹少女歌劇部(当時)のスターとして活躍した水の江瀧子の半生を描いたドラマティックレビュー「TARKIE THE STORY」で主演を演じた。
宝塚歌劇団では男役を15年務めた。今年2月には、松竹少女歌劇部(当時)のスターとして活躍した水の江瀧子の半生を描いたドラマティックレビュー「TARKIE THE STORY」で主演を演じた。

 辞めたいという意志を雪組のプロデューサー伝えたが、最初は突き返された。受理されたのは、3回目の申し出のときだった。「やっと辞められる」「もう辞めるんだ」と思ったが、そのタイミングで組替えの話が舞い込んでくる。09年4月のことだった。

「星組から声がかかったんです。1期上の柚希礼音(ゆずき れおん)さんが星組のトップになるから、その2番手として呼ばれたのだと言われました。すごくうれしかったし、自分の殻を破るきっかけになると思いました。それで、辞めることを白紙にしました」

 星組では、初の2番手に抜擢された。主演が未経験ながら2番手となったことで、最初は星組に受け入れられるか不安だったというが、すぐに溶け込めたという。

「星組の組長(当時)で男役の英真(えま)なおきさんが面白い方ですし、みんな明るくて生き生きしていた。下級生が失敗しても、笑ってくれる上級生が山ほどいるような温かい雰囲気でした」

 仲間内では、かなめさんの本名である「リカ」と呼ばれ、親しくなっていった。

 当時の星組は、男役トップスター柚希礼音さん、娘役トップスター夢咲(ゆめさき)ねねさん、男役2番手のかなめさんの3人のトライアングルが噛み合い、舞台の評判も上々だった。そんな矢先に再び、組替えの発表があった。

「星組に1年10カ月いて、これからというとき、今度は宙組の2番手として行かないかと言われました。その時は、『嫌だ、行きたくない』と言って、もめにもめました。『トップにならなくてもいいから、ここにいたい』『まだやらなくちゃいけないことがある』と主張しました」

 だが、その思いは通らず、11年2月付けで、宙組に組替え。結果、かなめさんはその才能をいかんなく発揮して、翌年7月、宙組トップスターに就任した。

 トップスターとなったかなめさんには、数百人ものファンが公演や稽古場での入り待ち、出待ちをするようになった。ファンは、かなめさんが出てきた一瞬で、手紙を渡すのが恒例になっていた。

「暑い日も寒い日も雨の日も、待っているファンの方たちがいて、もちろんうれしいんですが、私は申し訳ない気持ちがすごく強くなってしまって。朝に入り待ちして、そのままお仕事に行かれて、帰りに出待ちにまた来てくださっている方もいました」

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