「コロナ禍で将来のキャリアを見つめ直す人が増えています。中でも、“働く場所や時間の自由度”や“プライベートの時間を確保できること”や“中長期のキャリアデザイン”を重視する人が多い。自分のありたい生活を中心に考えながら、やりがいのある仕事をもう一度選び直すという動きが出てきています」(リクルートHR統括編集長、藤井薫さん)
こうした時代に選ばれる会社の大きな要素の一つが、「変化に柔軟に対応する姿勢があること」だ。「残業の有無」や「長期間の雇用が保証されている」といったことより、「時代に合わせて変化する会社かどうか」「やりがいがある仕事か」ということが重視される傾向にある。
「例えば、リモートワークが導入されない、アナログなやり方が変わらないなどが、転職の検討理由に入ってくるようになりました。広く言えば、求職者の会社選びにおける重点事項が、“この会社は私の人生にきちんと向き合ってくれる会社なのかどうか”という視点に変わってきています」(同)
■育休明けの復職前に転職がよぎる37歳Bさんの気持ちの変化とは?
今の会社は、私の人生にきちんと向き合ってくれないのではないか――。こうした考えのもと、現在転職活動をしているのが、神奈川県在住の会社員Bさん(37・広告関連業)だ。
3年前に出産し、産休育休を経て、昨年仕事に復帰した。時短制度もあり、子育て中の女性社員もいるが、仕事の状況によってはどうしても遅くなる日が出てくる。「この仕事と子育ては両立できない」と職場を去った先輩社員の姿も、数多く目にしてきた。だからBさんも、産休に入る前は、「育休が明けたら、復帰前に退職することになるかもしれない」と考えていた。
しかし、コロナの影響で、勤務先の会社もテレワークを取り入れるように。「テレワークが認められるなら、子育てしながらも仕事を続けられそうだ」と考えていたBさんだったが、復帰した昨年には、「原則、出社するように」との方針に戻っていた。