仕事内容としては、パソコンと通信環境さえ整っていれば、自宅であっても会社と大差なく業務を進めることができる。「週に1~2日でも良いから、テレワークを認めてもらえないか」と上司に話すと、「特例は作れない」と却下された。同じ業種で働く友人の会社では、テレワークも出社も、個人の裁量で選べるという。Bさんは言う。

「会社が変わらないことに対する、納得できる理由がない。世の中が大きく変わる中でも、これまでのやり方や前例を良しとする会社にいることは、自分や家族の人生にとってデメリットが大きいと考えるようになりました」

写真はイメージ(GettyImages)
写真はイメージ(GettyImages)

 こうした従業員のリクエストにどこまで応えるべきか、企業側にとっても難しい判断が迫られている。マイナビキャリアリサーチラボの早川朋さんは言う。

「テレワークなど新たな働き方に対応できる企業を見ると、どうしても企業規模や業種に偏りが出てくる現状があります。求職者の志向変化を受けて、どこまで対応していくか、今まさに企業側も過渡期にある段階では」

 誰にとっても合う会社や働き方というのは存在せず、その人それぞれに合った会社や働き方がある。「お金より時間」という人がいれば、「時間よりお金」という志向があっていい。何が正しいということはなく、働く上での価値観は人それぞれだ。まずは、自分はどうありたいか。何を重視して今後の人生を送りたいか。それをとことん掘り下げると、次の展開につながるヒントが見えてくるかもしれない。(松岡かすみ)

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