28年ぶりの完全試合、史上最多タイとなる1試合19奪三振、プロ野球記録を大きく更新する13人連続三振など、ここまで異次元の活躍を見せている佐々木朗希(ロッテ)。5月15日終了時点で勝利数(4)はリーグトップタイ、防御率(1.47)はリーグ3位、奪三振数(78)と勝率(1.000)はリーグ単独トップということからも、このまま順調にいけばタイトル争いに絡む可能性は高く、前人未到の領域まで足を踏み入れることも十分に考えられるだろう。そこで今回は過去の伝説的投手が残した記録に佐々木がどこまで迫れるかを探ってみたいと思う。
まず驚異的なペースで積み上げている奪三振数だが、シーズン記録を振り返ってみると歴代最多は1968年に江夏豊(阪神)がマークした401である。この年の江夏は49試合に登板し(先発は37試合)、投球回は329回と現代野球とはかけ離れた数字となっていることから、さすがの佐々木でもこの記録は現実的ではない。仮にシーズン200イニングを投げたとしても、毎回平均2個の三振を奪ってようやく到達する数字である。ちなみにパ・リーグ記録は稲尾和久(西鉄)が1961年にマークした353であり、これを更新することもまず難しいと言えそうだ。
現実的に達成可能な数字となると、シーズン300奪三振が妥当ではないだろうか。1年間で25試合に先発したと考えて、毎試合で12奪三振を記録すれば届く数字である。現在の佐々木の奪三振率は14.33であり、全登板で7回から8回を投げる必要は出てくるが、体力的な面がついてくれば決して不可能な目標ではないだろう。ちなみに平成以降の最多記録は野茂英雄(近鉄)が1990年と1991年に記録した287となっており、令和の時代にこれを超えることができれば大きな話題となることは間違いない。
奪三振数はなかなか難しいことが分かったが、奪三振率に関してはどうだろうか。これまで規定投球回数に到達した投手の最高記録は2019年の千賀滉大(ソフトバンク)がマークした11.33であり、現在の佐々木の14.33という数字を考えれば十分に更新可能と思われる。順調にいけば今後シーズン記録トップ5が全て佐々木の数字で埋まるということも十分に考えられるだろう。ちなみにリリーフ投手の奪三振率について見てみると、シーズン50イニング以上を投げた投手で歴代最高は1997年の佐々木主浩(横浜)の14.85となっており、この数字についても佐々木は十分に射程圏内に入っていると言える。