ここで前回大会までなら“残り4枠”という狭き門になるが、コロナ禍の影響が続く今回のW杯は、すでに定着している「1試合5人交代制」とともに、選手登録枠を「23人」から「26人」へと拡大される見通し。そうなれば「残り7枠」となり、随分と選択肢が増える。ポジション的には「GK」を1人、「3センター」の控えと「ウイング」も左右で1人ずつ欲しいところ。南野を前線のマルチロールと考えても、4-2-3-1にした際の「トップ下」に1人、さらに「最前線のFW」にもあと1人は必要。残る1人は、3バックにした際の「CB」もしくは「ウイングバック」、あるいは日本の将来を見据えた「育成枠」があるかも知れない。
そう考えた際、「GK」の残り1枠はシュミット・ダニエルと谷晃生の争いになる。ともに能力的には権田と遜色なく、シュミット・ダニエルには権田を10センチ上回る身長197センチの高さとベルギーリーグで強靭なフィジカルを持つFWと対峙してきた経験がある。谷も身長190センチと高さは十分で、21歳の若さとともに東京五輪で現在のDFラインの面々たちと戦い、スペインと対峙した経験がある。現時点で優劣の判断を下すのは難しく、6月シリーズの4試合の中でのパフォーマンスが重要な決定材料になりそうだ。
中盤の「3センター」の人選も悩みどころだろう。最終予選の途中まで2ボランチの主戦格だった柴崎岳と優れたポリバレント性を持つ旗手怜央が有力だが、ともに決め手を欠くことも事実。その他にも優れた選手は多く、森保ジャパンで招集歴のある橋本拳人や稲垣祥、あるいはスイスで結果を残している川辺駿やポルトガルでインサイドハーフとしての能力を開花させた藤本寛也もいる。さらにベルギーで活躍を続ける森岡亮太も対応可能な能力を持っているはずだが、果たして森保監督の構想に入っているのかどうか。Jリーグにも樋口雄太や橘田健人ら楽しみな人材が頭角を現しており、6月シリーズで初招集される選手がいるかどうかが大きな注目点だ。