三谷幸喜脚本によるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が話題だ。源平の合戦から、物語は佳境へ。読めば13倍おもしろい(?)話をお届けしよう。まずは、芸能界きっての“大河好き”松村邦洋さんのお話から。
【場面写真】松村さんも驚いたという展開をみせる新垣結衣(八重)と小栗旬(義時)
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──『松村邦洋「鎌倉殿の13人」を語る』という本も出していますが、これまでの展開をどう見ますか。
僕は同じ鎌倉幕府の始まりの物語である1979年の大河ドラマ「草燃える」にハマって何度も見ているので、この時代をどう描くか、「草燃える」とどう違うかを見てしまいますね。「あのときはこうだったけど、今回は、おお、そうくるか!」とか、「草燃える」では描かれていなかった部分が見えたり、三谷幸喜さんなりの解釈の違いがあったりしておもしろいですね。
中でも源頼朝(大泉洋)の恋人だった八重(新垣結衣)が、その後、北条義時(小栗旬)と結ばれて泰時(幼名は金剛、坂口健太郎)が生まれるという設定は驚きましたね。泰時の母親が誰かはいろいろな説がありますから、三谷さんなりのおもしろい設定ですね。一話の中で話が二転三転するので、ワクワクします。
──「鎌倉殿」がおもしろいと感じるポイントは。
大河でコミカルな場面があるのはどうなのか、と思ったことはありました。でも、史実をしっかりおさえた上で多少おもしろくするのはアリだなって思いました。第17回(5月1日放送)では、木曽義仲(青木崇高)が怪力で石を刀で割ったら水が噴き出したなんて話をしていました。「そんなわけないだろう!」とツッコミたくなりますが、当時のことを誰も見たことないんですからね。だからいいんですよ。
──「鎌倉殿」で思い入れのある人物は。
やっぱり主役の義時です。「草燃える」では松平健さんが義時役で、僕の中で義時=松平健さんだったのが、上書きされてどんどん小栗旬さんになってきましたね。今回は出ていないのですが、「草燃える」では伊東祐之という、伊東の豪族で伊東祐親の子が登場していました。この祐之が荒々しい坂東武者なんです。
祐之は義時と仲がよく、おとなしい優等生キャラだった義時と2人の性格が入れ替わっていきました。義時のやさしかった余白が黒く埋められていくんです。どんどんダークになっていく。今回、義時がどう変わっていくのか、「草燃える」とどう違うのかが見ものですね。でも、今回はあまり悪く描かないんじゃないですかね。最後までいい人で、もいいですね。