八重(新垣結衣)と北条義時(小栗旬)(c)NHK
八重(新垣結衣)と北条義時(小栗旬)(c)NHK

──頼朝ってどんな人だったのでしょう。

 頼朝はピッチャーでいうと、すごくゆるいカーブを投げてくるんです。100キロくらいの。常に150キロを投げる豪快なピッチャーじゃないから、ずっと速い球は投げられないです。でも、ゆるいカーブがあるかと思いきや、ときに150キロも投げる。さっきまで笑っていたのに、いきなり怒りだし、冷酷なことも平気でする。北条と出会う前の20年間、頼朝は政治のお勉強をしっかりしてきた政治のスペシャリストだったのでしょうね。それと警戒心が強かったんじゃないでしょうか。

 義仲の子・義高(市川染五郎)を殺してしまうのも、自分の心境と重ねて、いつか自分もやられると考えたからでしょうね。頼朝は人をどう操るかもわかっているんですよ。鎌倉幕府といっても御家人衆は寄せ集め集団だから、なかなかまとまらない。「敵を倒したらその領地をあげますよ」って御家人に国分けをしてつなぎとめていく。裏切られたら容赦なく滅ぼしますから。

──「鎌倉殿」で見たいシーンや戦(いくさ)などは。

 源平の戦いで有名なのは一ノ谷の戦い、屋島の戦い、壇ノ浦の戦いが挙げられますが、屋島と壇ノ浦の間に周防国合戦というのがあったんです。第18回「壇ノ浦で舞った男」(同8日放送)では、壇ノ浦が中心で周防国合戦は描かれませんでした。でも、この戦いでは平家側の瀬戸内の水軍をどんどん取り込み、全部味方につけていくんです。この戦いで手応えがあったからこそ、壇ノ浦で義経(菅田将暉)は勝利を収めることができた。周防国合戦は壇ノ浦の前哨戦ですが、とても意味がある合戦だったんですよ。

──松村さんは山口県の出身ですね。

 僕は田布施町出身で、先祖は大内氏の家臣だったらしいですね。下関は歴史上で大きな意味を持つ場所なんですよ。平家が滅亡するのが下関の壇ノ浦。平清盛が武家の基礎を築いたわけですけど、平家が敗れて本格的な武家の世が始まるきっかけになったのが下関で、幕末に高杉晋作らが徳川幕府に刃向かい挙兵して武士の世を終わらせるきっかけになったのも下関なんです。

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