そうじゃなきゃ、わざわざ海外からM.デムーロやルメールという騎手たちを呼んだりしないよ。日本の騎手に海外のうまい騎乗を見せようというJRAの気概を感じるね。そして、その海外の名騎手をあえて外して買うのが、なにか夜中にこっそりラーメンを食うような、盗み酒をしているような、背徳感のある気分だね(笑)。
福永騎手はお父さんの福永洋一さんも騎手で、俺が若い頃は「福永洋一を買っておけば間違いない」と言われていた名騎手だ。落馬事故で引退をしたが、そのお父さんの事故があっても息子が騎手になって、お父さんの仕事の残りを全うしようという気持ちがいいよね。だから俺も応援している。川田騎手もすごく勉強をしている騎手だし、3着以内に入る複勝率が高いからね。ただ、どちらも4着以下になったら文句は言うぞ。ファンってそんなもんだろう(笑)。
オークスの結論を言えば、福永騎手、川田騎手を軸に若手をはめ込む。意外と堅実だろう。競馬予想の番組に出ても「天龍さん、堅いですね」と言われるほどだ。昔は配当が多い穴狙いだったが、世の中の条理を考えたときに、配当が高いということは来る確率が低いということに、ここ20年で気づいたんだ。
ただ、娘は大穴狙いで、必ず高配当の馬券を買っている。俺の血を受け継いでいるよ。まだ、配当が多い馬は来る確率が低いことに気づいてないのかもしれないな(笑)。これで勝てば、娘が350ミリリットル缶で800円以上もする海外の高いビールを買ってくれるんだ。俺の晩酌のためにも、福永騎手、川田騎手、がんばれ!
(構成・高橋ダイスケ)
天龍源一郎(てんりゅう・げんいちろう)/1950年、福井県生まれ。「ミスター・プロレス」の異名をとる。63年、13歳で大相撲の二所ノ関部屋入門後、天龍の四股名で16場所在位。76年10月にプロレスに転向、全日本プロレスに入団。90年に新団体SWSに移籍、92年にはWARを旗揚げ。2010年に「天龍プロジェクト」を発足。2015年11月15日、両国国技館での引退試合をもってマット生活に幕を下ろす。