プーチン大統領はフィンランドのことは頭になかったというが後の祭り。フィンランドと隣国スウェーデンがともにNATO加盟を決断せざるを得なかったのは、プーチン大統領が引き金を引いたのだ。
スウェーデンの首相も女性である。アンデション首相は、スウェーデン初の女性首相で、ブルドーザーのあだ名があるそうだ。
この二人の女性首相を見ていると元気が出てくる。今回のNATO加盟という歴史を変える重大な決断などもさり気なくやってくれそうだ。実は、どんなに大変なことなのか、二人の実行力を見守りたい。
ちなみにプーチン大統領をとりまくロシア政府の面々は、ほとんどが男である。大きなテーブルを囲む、いかめしい顔をした男たち。年代も格好も、古い時代の遺物のようだ。
こんなところにも、プーチン政権の時代遅れ、時代錯誤が感じられるのである。
下重暁子(しもじゅう・あきこ)/作家。早稲田大学教育学部国語国文学科卒業後、NHKに入局。民放キャスターを経て、文筆活動に入る。この連載に加筆した『死は最後で最大のときめき』(朝日新書)が発売中
※週刊朝日 2022年6月3日号