■ポジショニング能力が鍛えられる?

 一方、大家族だったからこそ、才能が開花したのではと思わせてくれるのがシンガー・ソングライターのあいみょん(27)だ。クールな外見とは裏腹に、家族には熱い思いがあるようで、各所のインタビューで両親や兄弟姉妹のことを話している。姉、妹、弟3人の6人きょうだいだという彼女。父親は音響関係の仕事をするPAエンジニアで、元ミュージシャンでもある。

 2月27日に石田ゆり子のラジオ番組「LILY’S TONE」にゲスト出演した際、シンガー・ソングライターを目指したきっかけを告白。母方の祖母が「(親戚も大家族が多く)こんだけ孫がおったら、誰か1人でもええから“歌手になりたかった”っていう私の夢をかなえてほしいな」という言葉がずっと頭にあったという。19歳でデビューしたときに「代わりにかなえてくれてありがとう」と祖母に感謝されたことを「徹子の部屋」(テレビ朝日・2021年3月26日)の出演時にも語っていた。

「パリピ属性だったお姉さんからは西野カナを聞くことを薦められたというエピソードもありました。6人兄弟という大家族の中、さまざまな価値観にもまれて育ち、独特の世界観が形成されたのだと思います。似ているケースだと、俳優の高橋一生さんもそうです。彼は5人兄弟の長男。ただ、次男&三男、四男&五男と、それぞれ『父親が3人違う』とトーク番組で明かしていました。お母さまは他界されたそうですが、その際に兄弟を集めて、生活力をつけなければいけないと話し、弟たちに家計簿をつけさせているそうです。いろんな立場で状況を俯瞰(ふかん)しているからこそ、演技に説得力が出るのでしょう。演技の幅の広さ、独特の世界観も家庭環境が少なからず影響しているように感じます」(同)

 芸能評論家の三杉武氏は、大家族で育ったタレントが活躍する背景をこう分析する。

「芸能界では『兄の影響でギターに興味を持った』とか『姉に勧められてオーディションを受けた』という話をよく聞きます。やはり幼い頃から年上の肉親と触れ合うことで文化的な影響や刺激を受けて、芸能界を目指すケースが多いように思います。一方、ドラマや映画の現場、バラエティー番組の収録など、芸能界の仕事の大半は団体行動を強いられます。集団の中で自分に求められている役割や立ち位置を理解しつつ、実力を発揮することを求められるわけですが、子供の頃から大家族の中で育つことによって、そうした機微や空気を読む力、ポジショニング能力などが自然と培われることも大きいと思います」

 芸能界という荒波で生き残るには、大人数のきょうだいでもまれた強さや対人能力が大きなメリットになるのかもしれない。(高梨歩)

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