小沢:言っとくけど、僕、数字は全然取れない人ですから。「今夜はブギー・バック」という曲をみんな大好きと言ってくれるけど、シングルチャートは最高で16位ですよ。
大宮:えー! 体感でいくと、ずっと1位な感じだけどね。
小沢:それはね、みんなが「この曲いいよ」と強い愛を持って言ってくれるから、全体としてすごいんだな、みたいになるわけで。
大宮:だから続くんですよ。ずっと褪(あ)せないっていうか。1位を取っちゃうと、その時代の何かって感じになっちゃうし。小沢さんは学生時代に勉強されてましたけど、今は?
小沢:いまだにしてますよ。勉強大好きだもん。
大宮:どういう勉強を?
小沢:変な論文をいっぱい読んでます。最初は文学を読んでたけど、文学なるものに噴出してくる社会がうんぬんとかっていう話になると、論文とかの方が手っ取り早いから。
大宮:最近読んだのはどんな論文?
小沢:うーん、「ファイナンシャリゼーション」関連が多いですね。お金の力が、一見お金と関係ないものにどう関係するか、みたいな。
大宮:そういうの大好き。どんどん論文を読んでほしいです。そして歌詞として潜り込ませてください。
小沢:一番新しい「So kakkoii 宇宙」というアルバムは、全体にそういうやつが歌詞になってて。「流動体について」っていう曲もそう。
大宮:へえ。
小沢:今のとんでもない世の中で、流動体の中にいるっていうことを感じる曲を書けて、それこそアホみたいに勉強が好きで、論文読んでるような人間でよかったなって思う。
※AERA 2022年5月30日号