そして忘れてはならないのが、日本代表不動の主将である吉田麻也だ。イタリア・サンプドリアで3年目を過ごした今季は、シーズン前半こそレギュラーとしてプレーしていたが、指揮官交代とともに出場が減り、今年に入ってからはほぼ出番なし。出場時のパフォーマンスに対しての評価も芳しくなく、契約満了によって今季限りでの退団が濃厚とされている。今年11月開幕のW杯を考えると欧州でのプレーがベストだが、8月に34歳となる日本人センターバックに対して魅力的なオファーが届くのかどうか。中東クラブからの関心が伝えられているが、Jリーグ復帰の可能性も大いにあり、守備を立て直したいチームにとっては非常に魅力的かつ効果的な人材だ。

 さらに、元日本代表のGK中村航輔も国内復帰を考えていい選手だ。柏の下部組織で育ち、2013年にトップ昇格。2016年に正GKの座を掴み取ると、鋭い反射神経で数多くのシュートをブロック。2016年のリオ五輪に出場した後、2017年にA代表に初招集されると、2018年のW杯ロシア大会のメンバー入りも果たした。だが、その後は怪我による離脱もあって調子を崩し、2021年1月にポルティモネンセに移籍したが、1年半の所属でリーグ戦2試合に出場したのみ。27歳となった今、このままポルトガルの中位クラブの「控えGK」の立場に時間を費やすよりも、再びJクラブの正GKとしてピッチに立つ方が“オススメ”だ。

 果たして、この中から今夏にJリーグ復帰を果たす者はいるのか。確実に言えることは、彼らはJリーグの各クラブにとって即戦力となり、下位に低迷するチームの「救世主」、あるいは優勝のための「切り札」になり得るということ。そして、苦しんだ中で溜まったフラストレーションはピッチの上でのみ発散され、海外挑戦の成否と自身の成長は、再びJリーグの舞台で活躍することでも十分に証明できるということだ。

 昨夏は酒井宏樹(浦和)、大迫勇也、武藤嘉紀(神戸)、乾貴士(C大阪)、長友佑都(FC東京)、今季開幕前には鈴木優磨(鹿島)、齊藤未月(G大阪)が欧州クラブからJリーグ復帰を果たしたが、今後もその数が増えることで、日本サッカーの“面白味”は増すはずだ。(文・三和直樹)

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