▼質のよい睡眠をとれる環境を整える

 高齢になると、通常でも眠りは浅くなり、睡眠時間も短くなる。眠れないからトイレに行くのか、トイレに行くから眠れないのかわからないという人も多い。

 まずは睡眠環境が適切かどうかの見直しをしよう。規則正しい生活をする、昼間の適度な運動、夕食や晩酌は就寝2時間前に終える、就寝前にはパソコンやスマホを見ないなどで、質のよい眠りをまねくことも大切だ。

頻尿データ
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■衰えた機能をリハビリで取り戻す

 生活習慣の見直しだけでなく、リハビリや訓練によって低下した機能を維持・向上させると、頻尿の改善効果が見込めることが明らかになっており、ガイドラインでも推奨されている。骨盤底筋訓練と膀胱訓練はぜひ取り入れたい。

 頻尿の原因となる過活動膀胱は、加齢によって骨盤底の働きが衰えることが誘因となる。骨盤底とは、骨盤内にある臓器(膀胱、直腸、子宮など)をハンモックのように下から支えている筋肉・筋膜・靱帯などの総称で、加齢によって緩んでしまう。肛門や、女性なら腟の周辺の筋肉を締めたり緩めたりする運動で骨盤底を鍛え直すのが、「骨盤底筋訓練」だ。医師の指導のもとで正しい方法を体得しよう。

 頻尿になると尿漏れをおそれて、つい早めにトイレに行きがちになるが尿道を締めると膀胱が緩んで、尿意切迫感が弱まる。「膀胱訓練」はこれを利用して、尿意を5分ほどがまんするところから始め、徐々にその間隔をのばしていく。こうすることで膀胱の尿をためる機能や尿道の締める力を回復させて、頻尿を改善することにつなげる。

 両医師ともに、「頻尿も夜間頻尿も、日常のなかで改善を図ることが可能」と強調する。生活習慣の改善だけで頻尿がよくなるケースもめずらしくない。まずはトイレの回数を1回でも減らすことを目標に、続けてみよう。

(文・別所 文)

※週刊朝日2022年6月3日号より

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