便秘データ
便秘データ

 このタイプの人は水分不足にならないよう、注意が必要です。

「利尿作用のあるカフェインが入っていない水やスープなどにすること。そして一度にたくさんではなく、ちょこちょこ取るようアドバイスしています」(白倉医師)

 強い腹痛や腹部膨満感がある場合は「過敏性腸症候群(IBS)」の可能性が疑われます。IBSは下痢の印象が強いですが、便秘だけ起こるタイプや下痢と便秘が交互に起こるタイプがあります。

■男性は60歳ごろから便秘になりやすくなる

 便秘は若い人だけの問題ではありません。実は高齢者のほうが、症状を訴える人(有訴者)が断然多いのです。男性も60歳ごろから便秘になりやすくなり、70歳以上の有訴者数は女性と同程度になります。加齢の影響によって腸の蠕動運動が弱くなることが原因です。

「高齢になると便が大腸を通過するのに、若年者の約2倍時間がかかります。便秘と無縁だった男性が悩みを抱えるようになるのはこのためです」(中島医師)

 運動不足も便秘を助長します。食が細くなる、直腸に便が下りたときの感覚が鈍くなるなど、高齢者には便秘になりやすい条件がそろっているのです。

 便秘の裏に思わぬ病気が隠れていることもあり、注意が必要です。

「糖尿病やパーキンソン病があると、便秘になります。レビー小体型認知症では発症の10年くらい前から、がんこな便秘が起こることが知られています。大腸がんや橋本病が原因のこともあり、こうした病気の有無を、病院で確認しましょう」(同)

■血圧が急上昇して、命にかかわることも

 救急搬送患者を解析した調査で、ショッキングな数字があります。トイレで倒れて搬送された事例は約11%にのぼり、その多くは循環器の発作だったというのです。高齢者は排便時のいきみで血圧が急上昇しやすく、心筋梗塞や脳卒中のリスクになります。いきまず、するりと便が出ることがいかに大事かわかりますね。

 年代性別に関係なくあるのが「トイレの我慢」による便秘です。「トイレに行く時間がない」「学校や職場では恥ずかしい」などといって我慢すると、便の水分が吸収されて硬くなり、出にくくなってしまいます。便意は、便が直腸に下りてきて腸壁を押し広げ、その刺激が脊髄から脳に伝わることで起こるのです。

「便意の我慢を繰り返すと、直腸のセンサー機能が低下して、便意が徐々に消失し、便が直腸にあっても気づかなくなってしまいます」(同)

 子どもの便秘はこのタイプが多く、「トイレを我慢してはいけない」と、小さいころから教えることが大事だといいます。

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