近年、中古学生服を取り扱う店が全国的に増えている。背景にはコロナ禍で困窮する家庭が増え、新品の制服を購入することが保護者の負担になっていることがある。さらにリサイクルで持続可能な社会を目指すSDGsの浸透もある。一方、「安全・信頼」をうたう業者が買い取った制服がいわゆる「ブルセラショップ」に流れる問題も後を絶たない。NPO法人学生服リユース協会の代表、馬場加奈子さんに聞いた。
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「私自身、3人の子どもを育てていくなかで、制服を買うのはほんとうにきつかった。成長のたびに買い替えなければいけないですから。保護者にとっては大きな負担です」
馬場さんは、そう語る。
中高生の通学服といえば、学校が指定した制服がいまも一般的だ。今年3月、AERA dot.とYahoo!ニュースは、中高生の子どもを持つ保護者を対象に、「生徒の制服」についての共同アンケートを実施し、2000人から回答を得た。このうち、91.1%が「子どもが通っている学校に制服がある」と回答した(「制服がない」3.8%、「制服はあるが、私服も選択できる」5.2%)。
2017年に公正取引委員会が公表した「公立中学校における制服の取引実態に関する調査」で、学校が制服を指定する大きな理由の一つとして「生徒や保護者の経済的負担を軽減する」ことを挙げた。しかし、総務省統計局によると、今年3月の東京都区部の中学校制服一式の価格は男子用が3万5563円、女子用が3万4295円と、高額だ。成長期であるため、制服を買い替える可能性があることを考えると、家計負担の低減につながるかは疑問符がつく。
■安易な業界参入に危惧
実は、馬場さんは全国展開する「学生服リユースShopさくらや」の創業者でもある。香川県高松市に店を立ち上げたのは11年前。
「それまで学生服の8割が新品購入だったとすると、残りの2割はお下がりだったわけです。その部分をビジネスにしました。もちろん、売り上げも大事ですけれど、そのために店をやっているわけではありません。その地域で子育てをするお母さんやお父さんたちを中古学生服で支援するのが目的です」