■アクリル板で空気が滞留
Q:基本的対処方針では触れられていない、マスク以外の対策についてはどう考えますか?
尾崎:接触感染は、飛沫やエアロゾルの付着したテーブルなどを手で触り、その手で目や鼻、口を触ることで起きます。ですが、テーブルなどを少し触っただけで手に大量のウイルスが付着するとは考えにくい。接触感染が原因でクラスターが起きたという報告も、ほとんどないのではないでしょうか。
もちろん、目や鼻、口を触る前には手指をしっかり洗う、あるいはアルコール消毒するという心がけは大切です。が、料理を取り分ける係の人が手袋をする、学校や店舗でテーブルなどを何度も何度も拭く、といった必要はないと思います。
Q:逆効果になる恐れのある対策とは何でしょうか?
尾崎:代表例が、居酒屋など飲食店でよくみかけるアクリル板です。
飲食店などが感染対策の「認証店」になる条件として、東京都などは、客が対面に座るテーブル上へのアクリル板などの設置を挙げています。しかし、アクリル板などの遮蔽物を置くと空気が滞留し、かえって換気を妨げ、むしろ逆効果になる可能性があります。それよりも、換気が悪いと濃度が高くなる二酸化炭素(CO2)の濃度測定器の設置をもっと広めて、換気のよい店であることを数値で客観的に示すようにした方が効果的だと考えます。
■日常や社会活動を活発に
Q:東京都は、大型連休後の感染者増加を防ぐために独自に設定していた「リバウンド警戒期間」を5月22日で解除しました。認証店での飲食、1テーブル8人まで、といった制限が解除されました。マスクも含め、今後、いろいろな感染対策がどんどん緩和されていくのでしょうか?
尾崎:大型連休中に多くの人があれだけ移動してもリバウンドせず、むしろ減少傾向になったので、制限しなくてもやっていけるという判断で、警戒期間を解除したのだと思います。
新規感染者が増加しなかった背景には、3回目のワクチン接種が進んできていることと、第6波で感染した人がある程度いたからではないでしょうか。
世界的に感染対策が緩和の方向で進んでいます。国内でも、必要な対策は残しつつ、緩和できるところはもっと緩和して、日常生活や社会生活をもっと活発にしていったらどうでしょうか。