本人の話によれば、左の薬指は半分ほどしか曲がらず、人さし指も力が入りにくい状態だ。現在は、右手だけでティーバッティングや投球動作のみしか行えず、「3日間くらいはバットを握らないでと言われている」ともいい、6日の復帰はまだわからない。
このような状況に、カブスの専門メディアは悲痛な叫びをあげている。『カブス・インサイダー』のエバン・アルトマン記者は筆者に対し、「右翼手のレギュラーとして試合に出場し、打線の中軸も担う鈴木誠也の負傷者リスト入りは、あまりにも苦痛なニュースだ」と悲嘆。同記者は、5月28日から6月5日までの9日間で11試合を行うカブスの過密スケジュールに加え、鈴木以外にも負傷者が相次いでいるチーム事情に触れ、「非常にタイミングが悪かった」と嘆いた。
また同記者は、鈴木は負傷以外にも不運に見舞われているとも話す。しかも、それが、ここ最近の打撃低迷に関係しているという。
今季開幕直後、鈴木はメジャーでも傑出した活躍をみせていた。4月18日はナ・リーグの「週間MVP」に、5月3日にはナ・リーグの4月の「月間最優秀新人」に選出され、一時は打率4割という好成績もマークした。ところが、5月に入ると鈴木は失速。打撃は低迷する一方、三振率は上昇。スポーツメディア『ブリーチャー・ネーション』からは「36.4%(5月23日時点)の三振率はひどいものだ」と酷評を受けた。
しかし、アルトマン記者は、『カブス・インサイダー』で「鈴木は他のどの選手よりもひどいストライク・ジャッジを受けている」という記事を執筆し、「鈴木の30.1%の三振率、特に4月20日以降の高さを見ると、少し憂慮すべきものがある。鈴木の低迷のほとんどは相手投手からの対策によるものではあるが、審判もこれに関与している」と指摘。著者にも次のような見解を述べた。
「鈴木選手は非常に忍耐強い打者で、(MLBの)ストライクゾーンへ知識も豊富です。それは春季キャンプ中からも明らかになっていました。彼の選球眼は申し分なく、開幕直後は四球での多く出塁していました。しかし、審判は、鈴木選手に対しボールであるはずの球を24回もストライクと判定しています。この結果、彼は無理にボールを追いかけるようになり、コンタクトは減少。そして、打撃の生産性が落ちていきました」