アルトマン記者の指摘は、別のメディアでも取り上げられている。米スポーツメディア『ジ・アスレチック』は、31日掲載の記事も「スタットキャスト(データ解析ツール)の判定によれば、鈴木の打席でストライクと判定されたボールのうち、8%は(ストライク)ゾーン外であった。これは規定打席に到達している選手の中でも2番目に高い確率だ」と紹介。さらに、「2ストライク後にストライクと判定されたうち、3.9%はスタットキャストがゾーン外と判断している。これはMLBでも9番目の多さ」というデータも載せている。

 どうやら、この不可解なストライク判定が、鈴木の打撃低迷の一因にもなったと現地メディアは見ているようだ。ただ、メジャーでも3番目に高い37.9%という見逃し三振率は見逃せない。改善は必須で、復帰後の大きな課題になるとの指摘もある。先ほどの『ジ・アスレチック』は、次のデータを示しながら今後の改善点を挙げている。

「鈴木は19個の見逃し三振を記録しており、これはメジャーでも5位だ。この見逃し三振のうち、8つはスタットキャストがゾーンの『中心』と定義しているもので、これはメジャーでも2番目多い。ただ辛抱強く待つだけはなく、相手からどのように攻められるか、ゾーン内の球をどう対応するかを理解していく必要がある」

『ジ・アスレチック』は、鈴木は打席でよりアグレッシブになるべきではないかと指摘している。前出のアルトマン記者も、「(三振の)解決策は、凡打のリスクはあるが彼自身のゾーンを広げていくか、あるいは審判がどう判定するかを理解していかなくてはいけない」と、ほぼ同じ意見を持っていた。

 こういった意見について鈴木も「確かにそれを考えたことはあるが、自分はボールゾーンの球は常に振らないようにしたい」といい、「自分のストライクゾーンは変えたくない」とも話している。(いずれも『ジ・アスレチック』)

 アルトマン記者は「私の彼に対する期待は誰よりも高い。彼は非常に優れた選手で、スランプに陥ってもすぐに克服できるでしょう」と期待するが、克服できるかどうかは鈴木次第である。

 いずれにせよ今回の離脱は、鈴木に良い影響を与える可能性はありそうだ。鈴木も「今は治療に専念して神様が与えてくれた時間だと思って、時間を有効に使おうと思う」と話しており、課題解決の糸口が見つけられるかもしれない。早期復帰を願いつつ、しっかりと調整を続けてほしい。(澤良憲/YOSHINORI SAWA)