「当時の子どもの腰痛の認識は、専門書を見ても、整形外科的観点では骨折ぐらいでした」
増田さんによれば、各自治体で子どもの医療費軽減の動きが活発化した11年頃から、整形外科を受診する子どもの数が増加したという。腰痛を訴える子が多くみられたので、調査を始めたところ、腰の痛みを引き起こす原因の一つに「体育座り」があることが分かった。
それなら、あぐらなど別の座り方なら良いかといえば、そういうわけではないという。
「腰に負担がかかるのは、長時間同じ体勢でいることです。『体育座りがダメであぐらが良い』ということではなく、ちょっと痛いなとか、苦しいなと思ったら、自分で座り方を調整してもよいという本人や学校の認識が大事になります」(同)
体育座りのほかにも、学校には、体に良くないルールや慣習がある。例えば、増田さんは、学校で使われている机についても、見直しが必要だと指摘する。座った姿勢で机の板が肘の位置とほぼ同じ高さにくるのが正しい高さだと習っているが、実はこの高さだと鉛筆でノートを書くには低すぎるというのだ。
「鉛筆の場合、書字の際に必ず肘が机に置かれた状態で文字を書きます。この姿勢で考えるならば、机はもっと高い位置にあるほうが、腰が曲がらず、体への負担が少なくなります」
アエラのアンケートでは「重たすぎるランドセルによる通学」を指摘する意見もあった。特に近年は小学校でもデジタル化の影響でタブレットやノートパソコンを持ち歩くことも多くなった。既存のノートと教科書だけでも重かったランドセルがさらに重くなり、子どもたちの肩にのしかかっている。
今年、子どもが小学校に入学したばかりだという都内在住の女性は言う。
「もうすぐ1年生もタブレットが配られると聞いています。今でも十分重たいカバンがこれ以上重くなるのは体に負担にならないかと心配です」
別の保護者も疑問を口にする。
「海外のように布製のリュックではだめなのかなと感じます」