同じグループBになるが、プレーオフから勝ち上がったウェールズも可能性を秘めたチームだ。FIFAランク18位。今回、欧州予選E組でベルギーに次ぐ2位に入ると、プレーオフでオーストリア、ウクライナを破り、64年ぶり2回目のW杯出場を決めた。この「64年ぶり」は史上最長間隔。これまで何度も打ちひしがれ、“名手”ギグスの時代にも届かなかった本大会行きの切符を手に入れた選手たちのモチベーションはかつてなく高い。来季の所属が未定のFWベイルのコンディションは気になるところだが、この男の左足による“一発”があれば、どの強豪国が相手でも勝つチャンスはある。イングランドとの英国対決をライバル心剥き出しにして制することができれば、一気に勢いに乗り、旋風を巻き起こせる。
毎大会ダークホースとして名前が挙げられるアフリカ勢の中では、セネガルが最も力がある。FIFAランク20位。爆発的なスピードと高い決定力を持ち、今夏のバイエルン移籍が秒読み段階と言われるFWマネ(リバプール)をエースに、GKメンディ(チェルシー)、DFクリバリ(ナポリ)、MFゲイエ(パリSG)と各セクションに欧州の一線級プレイヤーを揃え、今年の年始に行われたアフリカネイションズカップでは決勝でエジプトを下して初優勝を果たすと、W杯予選でも再びエジプトとの激戦を制して2大会連続3回目の本大会出場を決めた。堅守からのカウンターの切れ味は非常に鋭く、グループA(カタール、オランダ、エクアドル)と組分けにも恵まれた。20年前の2002年日韓W杯の開幕戦でフランスを破り、最終的にベスト8まで勝ち上がったディウフたちのチームを上回る成績を残す可能性は大いにある。
欧州予選A組を無敗(6勝2分敗)で首位通過したストイコビッチ監督率いるセルビアは、間違いなく強い。FIFAランク25位。伝統的に技術と体格に恵まれた選手が多いが、現チームで特筆すべきは前線の充実ぶりだ。22歳のFWヴラホビッチ(ユベントス)は今大会注目のストライカーであり、ここに魔法の左足を持つMFタディッチ(アヤックス)と高い技術と得点力を持つMFサビッチ(ラツィオ)が絡み、さらにミトロビッチ(フルハム)、ヨビッチ(レアル・マドリー)が控える陣容は実に豪華だ。守備陣に課題を抱えるが、同国の英雄“ピクシー”が絶対的なカリスマ性でまとめ上げたチームは、上位進出の資格を間違いなく持っている。まずはグループG(ブラジル、スイス、カメルーン)を突破することから。初戦のブラジル戦は注目の一戦になる。