びっくりしたが、嬉しかった。

 いろいろな経験を重ねることで、困ったことがあっても「この間も乗り切れたんだから、大丈夫」と思えるようになってきた。これから先のことはわからないが、とりあえず前に進まないと、と思っている。

そんな悠さんに聞いた。

「友達が欲しいと思いますか?」

 答えはすぐに返ってきた。「今は友達がいてもいなくてもいいと思っています」

 不思議に、悲壮感はなかった。友達はいなくても生きていける。でも、人とのつながりがなくては、人は生きていけない。

 外に出ることで、人とのつながりは確実にできる。勇気を出してこの取材を受けたことも、すべて悠さん自身が開いた扉。少しずつ、悠さんの世界は広がっている。(取材・文/臼井美伸)

臼井美伸(うすい・みのぶ)/長崎県佐世保市出身。出版社にて生活情報誌の編集を経験したのち、独立。実用書の編集や執筆を手掛けるかたわら、ライフワークとして、家族関係や女性の生き方についての取材を続けている。佐賀県鳥栖市在住。http://40s-style-magazine.com

『「大人の引きこもり」見えない子どもと暮らす母親たち』(育鵬社)https://www.amazon.co.jp/dp/4594085687/

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