うつ病を克服し、偏差値29から東大に合格した杉山奈津子さんも、今や小学生の男の子の母。日々子育てに奮闘する中でとり入れている心理テクニックや教育方法をお届けします。今回は定期テストについてです。杉山さん自身が心理カウンセラーとして学んできた学術的根拠も交えつつ語る『東大ママのラク&サボでも「できる子」になる育児法』も絶賛発売中です。ぜひご覧ください。
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ある女子校で、高校1年生の間は定期テストを廃止する、ということが決まったそうです。理由は、「生徒に、自主的に継続した学習をしてもらいたいから」。
この決定に対し私は、「学校側は、まだ高校生でしかない生徒たちに期待をかけすぎではないだろうか?」と、首をかしげてしまいました。「定期テストがなくなったから、自分から勉強しなくちゃ!」という発想に至り、毎日自発的に頑張ろうとする生徒は、果たしてどれくらいいるのでしょうか。
■定期テストは「大イベント」だから気合が入る
学校側は、定期テストの代わりとして、授業中の小テストを多くする計画をたてたそうです。小テストの結果をふまえて自分の理解度を把握し、コツコツ勉強できる生徒を育てるのが理想なのかもしれませんが、理想論のように聞こえます。
「定期テスト」はある意味、大々的に行われる学校のイベントですから、生徒も力を入れて勉強をするわけです。自分の経験を振り返っても、たまに小テストが行われたところで、「少しくらい悪い点数を取ってもいいや」と思い、そこまで気合を入れて勉強をすることはなかった気がします。毎週のように何度も小テストがあるならば、さらに1回のテストの重みは軽くなるでしょう。
また、定期テストは一つの「締め切り」でもあります。
たとえば学校の授業で、5枚という、ほどほど多い量のプリントを渡され、「ここに書かれている内容を覚えてきて」「特にチェックはしないけど、皆ならやると信じているから」と言われたら、どうでしょうか。「気合を入れてしっかり覚えよう」と思う生徒は、少ないのではないでしょうか。「いつかはやろう」と思いつつも、「いつまでに」と決まっていない以上、そのままずっと放置してしまう気がします。
それに対して「2週間後までに、このプリントの内容を覚えてきて」「覚えたかどうかをチェックするから」と言われたら、大半の生徒が必死に覚えるのではないかと思います。
作業に対して締め切りの日を決める、やったかどうかを確認する、という取り決めは、行動するための原動力として働きます。まだ高校生なのですから、勉強に関してある程度強制「してあげる」部分があったほうが学習しやすいのではないでしょうか。