気功では二人の友人にお世話になりました。上海の中医学の先生、黄健理さんと北京から来た看護師の楊秀峰さん。黄さんは講義するときに同じ冗談を言う謹厳実直な人で、楊さんは、どんな気功をやっても一流の腕前でした。

 私が第二の故郷だと思っている内モンゴル自治区にも多くの友人がいます。このうち、ウインダライさんと孟松林さんは私の病院に6カ月留学しました。ウインさんは酒豪にしてヘビースモーカー、カレーライスが大好きでした。逆に孟さんは酒もタバコもやらない純情そのものの人。二人ともすぐに日本語がうまくなり驚きました。

 長い間、中国人とつきあってきて、私が実感しているのは、日本人と中国人は心を通じ合うことができるということです。それなのに、日中関係が悪くなってしまうというのは残念でしかたがありません。

 私は西洋医学の限界に気づき、中国医学に目を向けました。それによりホリスティック医学の道が開けたのです。日本人は知らないうちに欧米的なものの見方ばかりが身についてしまっているのかもしれません。でも日本は間違いなく東洋に位置する国なのです。それを忘れてはいけないのではないでしょうか。

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

週刊朝日  2022年6月24日号

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