帯津良一(おびつ・りょういち)/帯津三敬病院名誉院長
帯津良一(おびつ・りょういち)/帯津三敬病院名誉院長
この記事の写真をすべて見る

 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「中国とのつきあい」。

*  *  *

【東洋】ポイント

(1)日中関係が悪くなり、中国人嫌いが増えそうで心配

(2)私は日本人と中国人は心を通じ合えると実感している

(3)日本は東洋に位置する国であるのを忘れてはいけない

 最近の日中関係は決してよくないようですね。たまに、中国の閣僚がニュースに登場しますが、人相が悪いなと感じてしまうのは、私だけでしょうか。米国や日本の態度に対して反発を示すニュースが多いわけですから、そうなってしまうのもいたしかたないかもしれません。とにかく、私がこれまでつきあってきた中国人とは全く違った印象の人たちなのです。これでは日本人に中国人嫌いが増えてしまうのではと心配になります。

 私は1980年9月に初めて訪中し、そのときに3人の中国人の友人ができました。張益英さん、謝玉泉さん、李岩さんです。張さんと謝さんは北京市がんセンターの放射線科の医師でした。通訳として選ばれただけあって、二人は流暢な日本語を話しました。気配りも微に入り細にわたっています。このお二人のおかげで私はすっかり中国人が好きになりました。

 李さんは北京市がんセンターの漢方薬部門のヘッドをしていました。日本語は片言ですが、ユーモアと機知に富んでいて、二人きりでいても、少しも退屈しません。二人で何度も中国国内を旅行しました。ときには35時間、汽車に乗り続けましたが、缶詰を肴に二人で飲むビールは旨かったですね。82年に私が病院を開設すると、李さんは「その病院の漢方薬部門は私に任せなさい」と何回も来日してくれました。1カ月は滞在して、平日の夕方2時間、連続講義です。一回も休みません。その友情の厚さに頭が下がりました。

著者プロフィールを見る
帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

帯津良一の記事一覧はこちら
次のページ