便秘データ
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 このうち、第一選択肢になるのは(1)の「便をやわらかくする薬」です。代表的な薬の「酸化マグネシウム」と「ポリエチレングリコール(モビコール)」は、大腸内の水分を増やして、便をやわらかくして出しやすくするものです。松島クリニック診療部長の白倉立也医師はこう言います。

「酸化マグネシウムは患者ごとに合う量が違うので、ちょうどいい量を見つけるのがポイント。最初はやや多めに処方して、便がゆるすぎたら減らす、ということを繰り返します。まさにオーダーメイドの治療です」

 まれに副作用で「高マグネシウム血症」が起こることがあるので、薬を服用している患者は、定期的に血液中のマグネシウム量を測定することが推奨されています。

 慢性腎臓病などで腎機能が低下している場合は副作用のリスクが高いため、同じ作用機序のポリエチレングリコールが処方されます。2歳から使用できるので、小児の便秘にも使われます。液体に溶かして飲む粉末の薬で、みそ汁やジュースにも混ぜられるそうです。

■なかなかトイレに行けない人には、別の選択肢も

 ただ、これら(1)の便をやわらかくする薬はトイレの回数が増えるため、仕事や職場環境などによって適さない人もいます。

「そのような患者さんには腸の動きをよくするの薬を服用してもらいます。排便は1回ですみますし、排便したい時間に合わせて飲むことができます」(鳥居医師)

 この(2)の「腸の動きをよくする薬」は前述のアントラキノン系下剤が中心になりますが、医師の指導のもと、適切に用いれば問題はないそうです。

 西洋薬に抵抗がある場合は漢方薬の選択肢も。消化器の手術後のイレウス(腸閉塞)対策にも使われる「大建中湯」など8種類あります。こうした薬でうまくいかない場合には「胆汁酸トランスポーター阻害薬(エロビキシバット水和物錠)」などの新しい薬を検討することになります。この薬は前述の(3)の「(1)と(2)の働きをあわせ持つ薬」にあたり、「腸を動かす働き」と「便をやわらかくする働き」をあわせ持つものです。

「便秘の人は胆汁酸(消化液、胆汁の主成分)の分泌が不足していることがわかっています。この薬は胆汁酸の再吸収を抑えることで、腸内の胆汁酸の量を増やし、便秘を改善します」(同)

 ほかにも、かん腸や座薬など、多くの薬があります。「IBS(過敏性腸症候群)」による便秘は、精神的な要因が強くかかわっているので、抗うつ薬や向精神薬、精神療法の一つである「認知行動療法」が有効です。

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両医師が言う、便秘治療で最も大切なこと