自分だけで抱えがちな便秘の悩み…医師に相談するのが解決の早道です ※写真はイメージです(写真/Getty Images)
自分だけで抱えがちな便秘の悩み…医師に相談するのが解決の早道です ※写真はイメージです(写真/Getty Images)

「腸を整える」と書かれた食品やサプリメントはいろいろ売られていて、下剤は薬局で簡単に買うことができます。だから「自力で治せばいい」と考えがちですが、原因によってはセルフケアが難しく、下剤の副作用で重症化する恐れもあるといいます。病院ではどんなふうに便秘を治療できるのか、そしてそのメリットを専門医に聞きました。

【便秘治療の3つの柱はこちら】

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 かのエルビス・プレスリーもひどい便秘だったそう。死因は諸説ありますが、便秘が引き金ともいわれています。日本の救急搬送患者を解析した調査では、約11%がトイレで倒れていて、その多くは循環器の発作だったとの報告も。介護の現場では、排便のケアが大きな負担になっています。

 大腸がんや糖尿病、パーキンソン病などが便秘の原因になっていることもあるので、便秘が続くなら、医療機関を受診することがとても大切です。

■薬を上手に使ってコントロール

 原因になる病気がなく、恒常的なものを慢性便秘(以下、便秘)といいます。鳥居内科クリニック院長の鳥居明医師は治療のポイントを次のようにに話します。

「高齢者の便秘は、加齢によって腸の動きが悪くなっていることが主な原因です。腸を若返らせることは残念ながら難しいので、食事や運動の見直しに加え、薬も使ってコントロールをしていくと、楽になると思います」

 若い人の便秘も、まずは薬で排便のリズムをつけるほうが、結果的に薬を早く減らせ、薬の常用から離脱できることが多いとのことです。

■体質に合わせて薬を選び、量を調整

「だったら市販薬で」と思うかもしれません。しかし市販薬の多くは、アロエ、センナ、大黄を含んでいて、腸を刺激して排便を促す「アントラキノン系下剤」です。長期間使うと腸が弛緩して、薬が徐々に効きにくくなります。だからといって量を増やしていくと、自力で排便ができなくなることも。病院に行かないことは、大腸がんなどの大きな病気を見落とす危険にもなるので、便秘が続くようなら、早い段階で医師に相談しましょう。

 医療機関で処方される便秘の治療薬は、アントラキノン系下剤のほかにもさまざまなタイプがあり、効果のしくみで次の三つに分類できます。

(1) 便をやわらかくするもの
(2) 腸の動きをよくするもの
(3) (1)と(2)の働きをあわせ持つもの

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三つのタイプの薬の適切な使い方とは