
便秘の治療で最も大事なのは「医師と患者の信頼関係」だと、両医師は口をそろえます。
「薬の効きがよくない、薬をやめたい、などといった不満や希望は遠慮なく言ってほしいです。自己判断で服薬量を変えたり、治療をやめたりするのが一番よくないのです」(白倉医師)
■下剤の離脱治療で重い副作用も改善
市販のアントラキノン系下剤の乱用による副作用で重度の便秘になっている場合は、まず下剤の離脱治療をおこないます。
白倉医師によると、下剤を5年、10年飲み続けている患者は珍しくなく、常用量を超えて一日何十錠も服用している人もいて、水のような便が習慣になっているそうです。
「こうした患者さんは便が出ないことに強い不安を感じているので、服用している薬をいきなりやめるのは、かえってよくない結果になります。ほかの治療薬も加えて飲みながら、少しずつアントラキノン系下剤を減らしていくのが王道です」(同)
依存から完全に離脱できるまで1~2年かかることもありますが、根気よく続けることで、徐々に便意は戻ってくるといいます。
このように、治療の選択肢はたくさん用意されています。生兵法より、消化器科を専門とする医師を頼るのが早道ではないでしょうか。
(文・狩生聖子)
※週刊朝日2022年6月24日号より