松原:共産党はどうでしょうか。
御厨:前回の衆院選で立憲などと野党共闘をやったけれど失敗に終わり、維新の会のほうが議席を伸ばしてしまった。それでも、志位和夫委員長が責任をとるでもない。
松原:私たちはずっと「党名を変えたほうがいい」と言ってきました。党名は変えなかったけれど、行動はかなり変わりましたね。
御厨:志位委員長はウクライナ侵攻を受けて、「急迫不正の主権侵害に対しては自衛隊を活用する」とまで明言しましたからね。
松原:反則でしょう。志位委員長からしたら、この50年間ソ連やロシアを批判してきたのは我々だ、ということですかね。「憲法違反と言われる自衛隊がかわいそうだ」と、9条を変えようとしていた安倍晋三元首相のハシゴを外したかたちです。
御厨:天皇制も認めるということになってきているし、こうなると最後の砦は本当に党名変更しかない。「絶対変えない」と言っていますけど。
松原:今後はもう、共産党・立憲民主党・れいわ新選組でくっついて選挙するしかないでしょう。社民党は、参院選で一定の票数を確保できないと公職選挙法の「政党要件」を満たさなくなる。党がなくなるかどうかの瀬戸際に立たされている。
御厨:社民党はもはや、福島瑞穂党首を当選させる会になってしまった。れいわの山本太郎代表は、衆院の議席をなげうって、参院選でもう一度やり直すという。やり直したところで、それこそその先の展望がないと思うんですけどね。
松原:山本氏が当選すれば、ある程度、野党の中を引っかき回すことになると思います。引っかき回すといえば、やっぱり不思議な立場なのが維新の会。今回は、大阪の地域政党から「全国政党」になると言って、政策はどうするのかと思ったら、国民から公募するという。ある意味、究極のポピュリズムと言える。
御厨:言うだけ言った松井一郎代表も、来年で引退していなくなる。
松原:野党を内側からたたいて、ここまでボロボロにした一つの要因は維新の会ですからね。
御厨:維新の会の候補者を見ると、新人といってもなかなか良い人がいないから、立てるのはどこかの元国会議員とか、元県議会議員とかが目立つ。そういう人たちもやっぱり議員がやりたいから。