この論文では、コロナワクチン接種後にアトピーが悪化する理由はいまだにわかっていないとし、2.8%という頻度やアトピー悪化の程度を考えると、コロナワクチンの接種は控えるべきではないと提言されています。

 実際、私の外来でもコロナワクチン接種後にじんま疹が出現したり、アトピーが悪化して相談を受けたりするケースが増えています。

 こういった場合、コロナワクチンとの因果関係を証明するのは大変難しいことです。しかし、コロナワクチンを2回接種して、その2回とも後にアトピーが悪化するケースはコロナワクチンとの関係を強く疑います。こうした患者さんたちがコロナワクチンの3回目の接種をすべきかどうかは非常に悩ましい問題です。アトピーは悪化すれば強いかゆみのため不眠となり、日常生活に支障をきたすこともあるからです。一方、3回目のコロナワクチン接種は副反応のリスクが少ないとする報告もあります。

 もちろん、コロナワクチンを接種してじんま疹やアトピーが悪化しない患者さんも多くいます。コロナワクチンの接種後にどれくらい湿疹が悪化したかの程度によって、次回のコロナワクチン接種に関しては個別に主治医と相談するのが望ましいでしょう。

参考文献:
JAMA. 2022 May 3;327(17):1702-1703.
Br J Dermatol. 2022 Jan;186(1):142-152.
J Eur Acad Dermatol Venereol. 2022 Jun;36(6):e409-e411.
BMC Med. 2022 Mar 2;20(1):100.
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