さて、19日の地震は局所的に震度6弱を観測したが、強く揺れた範囲はさほど広くない。震度5強以上はほぼ珠洲市のみ、4以上も能登半島の北側部分だけに限られた。地震の規模を示すマグニチュード(M)は5.4。平松教授は続ける。
「M5という数字は、自然現象としてはさほど大きくない。この規模は群発地震の一環として以前から想定されており、今後も起きる可能性があります。流体による群発地震としてはこのくらいが最大級ではないか。一方で、流体の影響が沖合の活断層などに及んだ場合、活断層が大きく動いてM6~7クラスの地震が起きる可能性も否定できない。そうなると揺れる範囲や被害レベルは桁が違ってきます」
平松教授が「自然現象としては大きくない」と言うように、M5クラスの地震は全国で頻発(ひんぱつ)している。東日本大震災の影響を受ける前の01年から10年に発生した地震記録を見ると、M5.0~5.9の地震は平均で年140回発生していた。内陸地震に詳しい東北福祉大学の水本匡起専任講師はこう解説する。
宗谷は活断層が影響
「3日に1回程度起きているとはいえ、大半はプレート境界など海で起こる地震なので、比較的小さな揺れで収まります。しかし、内陸の浅いところを震源とした場合、M5クラスでも非常に大きな揺れを起こすことがあるんです。今回の能登半島のような流体が関与するとみられる地震は多くありませんが、活断層に関わる内陸地震はしばしば起こります」
珠洲市で震度6弱を観測した翌朝、北海道の宗谷地方ではM4.4、最大震度4を観測する地震があった。この地震も活断層の影響が考えられるという。東北大学災害科学国際研究所の遠田晋次教授がこう説明する。
「宗谷地方には、最大でM7.6の大型地震を起こす可能性があるとされるサロベツ断層帯がある。活断層があるということは、地殻がズタズタに破砕していて、いろいろな割れ目がその周辺に分布しているのです。今回の地震はその小さな割れ目のひとつが動いたと考えられます」