石川県珠洲市で6月19日、最大震度6弱の地震があった。この地域では約1年半前から 地震活動が活発化していた。その翌日に起きた北海道の宗谷地方は、活断層の影響が考えられる。いずれも警戒が必要だ。AERA 2022年7月4日号の記事から。
* * *
突然の大きな揺れだった。目の前に止めていた軽トラックが左右に何度も激しくズレ動いた。
「びっくりした。知人宅にいて、ちょうど3時の休憩ということでひと休みしていたところだったんです。その少し前までハシゴにのぼって作業していたから、そのときに地震が来ていたらどうなっていたか……。命拾いしました。恐ろしいです」
石川県珠洲(すず)市の泉浩治さん(81)はこう振り返る。6月19日15時8分、能登半島を震源とする地震が発生し、珠洲市正院(しょういん)で震度6弱の強い揺れを観測、翌20日も最大震度5強の地震が起きた。石川県のまとめによると一連の地震で7人が軽傷を負った。被害の全容はまだわかっていないが、泉さんが氏子総代を務める春日神社では鳥居が真後ろに倒れ崩壊、14基あった灯籠も12基が倒れた。
「倒れた鳥居は近くの空き地に移動しましたが、本格的な片付けはこれから。重機も人手も必要です。27日には神社の神事があるのでその準備も進めつつ、どう段取りするか」(泉さん)
有感地震160回以上
珠洲市周辺では2020年12月ごろから地震活動が活発化しており、震度1以上の有感地震はこの1年半で160回以上を数えている。この地域の地震の研究を続ける金沢大学の平松良浩教授(地震学)は、今回の地震も「群発地震の一環とみられる」としたうえで、地震の発生要因として地下に存在する「流体」の影響を挙げる。
「群発地震が始まったのと同じころから、珠洲市周辺では局所的に地盤の隆起も観測されています。地震の発生場所の経過や地殻変動モデルを検討すると、地下の『流体』の存在が強く示唆されます。地下十数キロのところに圧力の高い水のような流体があり、それが膨張してあたりを押し広げたり、断層面に入り込んだりして地震を起こしていると考えています」