OPBFのベルト(撮影/編集部・川口穣)
OPBFのベルト(撮影/編集部・川口穣)

 プロ25戦目でようやくたどり着いた日本ミニマム級王座決定戦だったが、のちに世界3階級を制する八重樫東にはね返される。そのときからタイトル挑戦6連敗(日本3回、東洋太平洋1回、WBCインターナショナル1回、WBCインターナショナル・シルバー1回)。

 2015年、日本ライトフライ級王座決定戦に勝って初めてベルトを手にしたときには、35歳になっていた。

 「意地しかなかった。取れるはずだ、取りたい、その思いだけでボクシングを続けてきました。うれしかったけれど、それ以上に『よし、やっととれた』と。ホッとした気持ちが強かったですね」

 ベルトへの意地で続けてきた現役生活。35歳でその思いが成就した。

 日本ボクシングコミッション(JBC)ではプロボクサーの年齢制限を「17歳から36歳まで」と定めている。37歳に達すると、ライセンスは原則失効。チャンピオン経験者は医学的な診断を経て延長を申請できるが、あくまで特例だ。

 ちょうどいい潮時――。

 その年の年末、初防衛戦で敗れてベルトを失ったとき、堀川がグローブを吊るすと考えた関係者は多いだろう。しかし、堀川はそうしなかった。初防衛戦で敗れたことが、実は転機になったという。

 「負けたときに、ふともう少しできるんじゃないか、自分にはまだ強くなる可能性があるんじゃないかと感じたんです。何があるのかはわからない、言葉では説明できないけれど、まだ可能性があるはずだと……」

  堀川が選んだのは引退ではなく移籍だった。環境を変えることで、自分のボクサーとしての可能性を追い求めたい。それまで所属していた京都のジムを離れ、東京の名門・三迫ジムの門をたたいた。

 この初防衛戦で堀川から日本タイトルを奪ったのは、現WBC世界ライトフライ級王者の寺地拳四朗だ。寺地は現在、堀川と同じ三迫ジムを練習拠点にしており(所属はBMB)、練習をともにすることもある。その寺地は堀川のことをこう評する。

「この年齢で現役、それも第一線で戦っていることがまず考えられない。すごすぎますよ。ボクサーとしても、言ったことを実現できるというか、実行力がすごくあるいい選手だと思います」

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