「夫はアウトドア派で私は圧倒的インドア派。子供が小さいうちは、嫌でもキャンプやドライブ、ハイキングと付き合ってきたけど、独立した今はもう付き合いきれない。私は私の好きなことをしていたい。去年ごろから田舎で農業をしたいと言いだした夫に、この春、思い切って卒婚しましょうと提案したばかり。卒婚後のお金のことで夫はあまりいい顔をしていなかったけど、私は譲るつもりはないです」

 卒婚してハッピーライフを送る共働きカップルの話も聞けた。Sさん(42)と13歳年上の夫(55)は3年前、卒婚に踏み切った。母親の介護のため、夫が千葉の外れにある実家に住みたいと言いだしたが、Sさんは今の生活と仕事を変えたくなかった。Sさんは以前、義父を介護するため夫の実家で2年暮らしたことがあった。

「義父の介護で懲りました。通勤時間は倍以上になるし、介護も大変。何よりお義母さんと性格が合わず、ケンカばかりで夫との仲も悪くなってしまったほど。お義父さんが亡くなってすぐ、また夫婦で都内に引っ越し、ようやく以前の暮らしに戻ったのですが、今度はお義母さんの足腰が立たなくなってしまった。夫はまた帰りたいと言うので、卒婚を選ばせてもらった。夫も納得して、一人で実家に戻りました」

 義母は昨年亡くなったが、2人は今も離れて暮らしているという。

「自営業の夫は実家近くでの仕事も増え、都内に戻りづらくなったんです。時々、時間を合わせて一緒に食事をしたり、家で映画を見たりしていますが、久しぶりに会うと、新婚時代みたいな気持ちになれてちょっといい感じなのもうれしい。夫も実家を空き家にするのは困ると言っているので、しばらく卒婚状態を続けたいと思ってます」

 最近、夫だけが自分の実家に戻って暮らす卒婚のパターンをよく聞く。Tさん(64)もそのひとり。2歳年下の妻と結婚して35年、35歳と30歳になるふたりの息子がいる。長男は独立して家庭を持っているが、次男は自宅から職場に通っている。

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