「病めるときも健やかなるときも……」と永遠の愛を誓ったはずなのに、昨今は「早く卒婚したい」という中高年カップルが増加中だ。婚姻関係は続けたまま、互いの自由を尊重するという卒婚のメリットとデメリットを調べてみた。
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コロナ禍の昨今、SNS上には「卒婚」願望を語るつぶやきがあふれる。
「コロナで在宅勤務中の夫に嫌気がさした。家にいるんだから少しくらい自分のことは自分でやれと言っても“俺は仕事してるんだ!”と拒否。あ~、子供が手を離れたら速攻で卒婚したい」
「離婚する勇気はないけど、卒婚なら一刻も早くしたい」
「いまや『卒婚』という夢だけが生きる支え」
そもそも卒婚とは、夫婦が離婚はせず婚姻関係を維持しつつも、互いに縛られることなく自由に生活することを指す言葉だ。2004年に出版された『卒婚のススメ』で、著者の杉山由美子さんが使い注目された。
婚活や「街コン」を中心とする男女の出会いメディア「イベンツ」を運営するノマドマーケティング社が昨秋、全国1千人の既婚男女を対象に卒婚に関する調査をしたところ、男性の24%、女性の32%が「卒婚をしたい」と答えた。年代別では30代が22%、40代が36%、50代が41%と、年代が上がるにつれて希望者も増えている。なぜ卒婚なのか。SNSで卒婚願望を強く訴えていた40代女性が取材に応じてくれた。
「リモート生活で夫が家にいると、心の底で邪魔くさいと思っている自分を発見したんです。近くにいると夫の世話で私の自由がなくなり、すごくストレスを感じる。コロナ前は帰りも遅いから食事の用意もしないし、もう長いことセックスレスだし。とっくに『卒妻』はしてるんだけど(笑)。むしろ離婚したいぐらい。でも、娘が高校生になって、パートで働き始めたとはいえ、ずっと専業主婦だったから生活力がない。離婚するほどの勇気はないのよね」
同じくSNSで「卒婚するぞ」と宣言していた50代女性は現在、夫と卒婚の話し合いをしているという。