西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、新型コロナウイルスの急拡大で先行きが見えにくい中で、求められる力を解説する。
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オールスター前までに勝率5割、もしくは首位から5ゲーム差というのは、リーグ優勝、プレーオフ進出を狙う上で一つの目安ともいえる数字だった。今のパ・リーグはなんと日本ハムをのぞく5チームがその状況下にある。7月12日の終了時点の数字だが、首位ソフトバンクから5位のオリックスまで、わずか4.5ゲーム差しかない。
しかも、その混戦に加えて先行きを予想できないのが、新型コロナウイルスの感染急拡大である。7月12日のロッテ戦では西武の源田壮亮らが、試合途中で交代した。今後、各チームが検査を頻繁に行うことになるだろう。そうなると、次々と陽性者が出てくることが予想される。
チームというものは、シーズンを戦っていく中で、選手個々のコンディションを見極め、その年の適正配置をし、投打の歯車をうまく回せるようにしていく。しっかりと歯車がかみ合うようになったチームが、終盤の優勝争いをリードしていくことになる。だが、「新型コロナウイルス」といういかんともしがたい要因がある今夏は、歯車がかみ合ったチームでも、すぐにおかしくなる可能性がある。
感染力の強いウイルスが蔓延(まんえん)してきている。妻子を持つ選手、コーチはどれだけ感染対策をしようとも、どこから入るかわからないし、それをもって批判することなどできやしない。各球団ともに中止、試合延期が増えるのは致し方ない。今年ばかりは、チームの勢いが出てきた時に「急停止」せざるを得ないような事態が起きることが予想される。ファン、選手ともに、どこか歯がゆい戦いとなるのだが、こういった中だと「勝てる試合を絶対に勝ち切る力」が必要になる。その上で投手力というものは大きな指標となり得るだろう。注視していきたい。
メジャーリーグに目を向けると、大谷翔平が投打にハイレベルな活躍を見せている。特に投手に関しては、エースと言える働きぶりである。上から投げたり、少しスリークオーター気味に投げたり、見ていてすぐにわかるようなリリースポイントの変化をつけている。