「少量のアルコールは体にいい」は本当か?
この記事の写真をすべて見るアルコールとの付き合い方は予防医学において極めて重要です。
まずアルコールの摂取はがんのリスクを上げます。世界がん研究基金/米国がん研究協会(AICR)の報告書でも、飲酒は口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、乳がん、大腸がん(男性)のリスクを上昇させることが示されました(※1)
少量の飲酒は心臓病のリスクを下げる可能性があるという論文も存在はするのですが、がんリスクのほうが高いと言わざるを得ません(※2)
『Lancet』という医学誌に掲載された分析でも「心臓病のリスクを下げるが、がんや交通事故などでの死亡率が上がるので、メリットとデメリットを総合すると飲酒は勧められない」としています(※3)
少なくとも「少量・適量なら体にいいから絶対飲んだほうがいい」といえる根拠はありません。しかしお酒好きの人にとっては「完全にアルコールを飲まない」という選択は難しいでしょう。ストレスがかかった生活状態では依存しやすいかもしれません。
好酒家の方は飲みすぎ対策として「休肝日を設ける」ことがあります。
約9万人の日本人を対象にした研究でも、週2日の休肝日を設けることで死亡率が低下したというデータがあります(※4)
しかし、休肝日を設けた反動で、逆に飲酒量が増えてしまうこともあるようです。