主力の離脱はチームにとって大きなピンチだが、1軍で出場機会がなかった選手たちにとっては大きなチャンスでもある。ヤクルトでは39歳のベテラン・内川聖一が12日に1軍昇格。イースタンで45試合出場し、打率.333、3本塁打、25打点の好成績をマークしており、打撃の状態はいい。「3番・左翼」で今季初出場した14日の中日戦では初回に先制点につながる右翼線二塁打。昨季まで通算2182安打をマークした打撃技術は錆びついていない。主力の選手たちが復帰後も「代打の切り札」として活躍の場はあるだろう。
また、「1番・中堅」に抜擢された並木秀尊もチームトップクラスの俊足を武器にダイヤモンドを疾走している。今季初出場となった13日の中日戦で3回に中越え三塁打を放つと、14日の同戦でも5回に三塁前に転がすセーフティーバントを見事に決めて出塁した。外野陣は塩見、青木、山崎晃太朗、坂口智隆、ルーキーの丸山和郁とライバルが多いが、並木は活躍次第で1軍に残れる可能性は十分にある。
投手では左腕・宮台康平が面白い。14日の中日戦で日本ハム在籍時の18年以来4年ぶりの1軍登板を果たすと、3点ビハインドの8回から登板し、先頭の三ツ俣大樹を149キロの直球で空振り三振、代打・石垣雅海を144キロの直球で遊飛、平田良介からも147キロの直球で空振り三振と力強い投球を披露。救援陣は左腕が田口麗斗に依存しているため、宮台が加われば大きなプラスアルファになる。
「新戦力を発掘できるという観点から見ると楽しみな選手が多い。並木、宮台だけでなく、今季途中加入の新外国人・キブレハン、2年目の元山飛優、長岡と同期入団の武岡龍世もこのチャンスを生かせば出場機会が増える。彼らが活躍すれば、戦列を離れている主力選手たちも刺激を受ける」(前出のスポーツ紙遊軍記者)
チームの緊急事態で、救世主が現れるか。(梅宮昌宗)
※週刊朝日オンライン限定記事