5000件に及ぶ片づけ相談の経験と心理学をもとに作り上げたオリジナルメソッドで、汚部屋に悩む女性たちの「片づけの習慣化」をサポートする西崎彩智(にしざき・さち)さん。募集のたびに満員御礼の講座「家庭力アッププロジェクト®」を主宰する彼女が、片づけられない女性たちのヨモヤマ話や奮闘記を交えながら、リバウンドしない片づけの考え方をお伝えします。
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case.11 物の住所と心のゆとり確保が収入アップの秘訣
(夫+子ども2人/保険営業)
私はたびたび講座で、「年収と床面積(家具以外に物が置かれていない面積)は比例する」というお話をします。実際、これまでに登場した女性の中には、片づけ後に仕事で評価された人や実際に年収がアップした人もいます。片づけや掃除はよくお金とひもづけて語られますが、具体的にはどう関係しているのでしょうか。
今回はまさに、片づけとお金をテーマに2020年に家庭力アッププロジェクトへ参加した典子さんのケースです。
典子さんは3人のお子さんのお母さん。証券会社出身で、現在はファイナンシャルプランナーとして保険代理店に勤務するお金のプロです。フルコミッションの保険営業として活躍しています。
「FPなのにお恥ずかしい話なんですが、お財布を逆さにしても何も出ませんと言う状況でした」とプロジェクトへ参加した当時を振り返ります。
家計が厳しいのには事情がありました。スポーツに打ち込む長男に、お金がかかっていたのです。高校時代は遠征のたびに「何日までに○十万円持ってきてください」と言われて、お金が飛んでいったとか。
「学資保険は高校生の間に使いきってしまいました。大学の合格通知と一緒に振込用紙が届いたときは、もうお金がほとんど底をついていまして」
なんとかかき集めて長男を進学させたと思ったら、同居する母が認知症に。状態は進行し、施設へ入居することになりました。介護や医療の急なお金は待ってくれません。施設代や学費の支払いを優先せざるを得ず、生活費はクレジットカードで払う日々が続きました。
「必死に働いて収入は増えたけど、それでも返済に追われて。支払いが滞り、立て続けにカードが3枚使えなくなったんです。母として、娘として、稼がざるを得ない状況でした」