片づけで何が変わったのか、典子さんに聞いてみました。

「まず、片づけを集中してやる中で、こうやれば、これくらいの時間でできるという見通しが立てられるようになり、後回しにせずやる習慣が身につきました。仕事でも午前中一件終わったら、次の予定までに振り込み3件して買い物して帰るなど、後回しにせず “やる”“動く”クセがつきました」

 以前なら、振り込みは明日でいっか、次に遅れるといけないし……と言い訳を作っては先延ばしにしていたけど、すぐに動く習慣が身についたのです。

「もう一つは心に余裕ができたことです。朝の支度のときは書類の印刷や準備で気持ちも慌ただしかったのですが、今は部屋のどこに何があるか住所が頭に入っているので心は穏やかです。あと、これまでは片づけをやらなきゃという思考が頭のどこかにあって常に追われている感じだったんですが、いまは頭がスッキリしています」

 収納を整える際に動線に配慮したことも大きかったと典子さん。人の動きに合わせて物の住所を決めると、ドアを開け閉めしたり、部屋でウロウロしたりする時間が大幅に減ります。

「気持ちが落ち着いたら、同じように穏やかなお客さまにお会いできるようになりました。重箱の隅をつつくように契約書をチェックするような難しい方に出会わなくなったんです。話を受け入れてくださるので、次の提案にもつながりやすいです」

 典子さんが穏やかな気持ちで接することで、相手の方も信頼して話を聞いてくれるのかもしれません。

 明確なゴールを設定して細かな行動を積み重ねたことで、片づけも収入アップもやり切った典子さんは、今後は3人の子どもたちが進学やスポーツでやりたい方向性が決まった時に、いつでも支えてあげられるようにしたいと話してくれました。

長女が作った家事分担表。子どもに割り振ってもらうのはいいアイデアですね/After
長女が作った家事分担表。子どもに割り振ってもらうのはいいアイデアですね/After

 長女は片づけや家のことに前より興味を持ってくれたみたい。お母さんを支えようと、夫婦と子ども2人の家事分担表を作って壁に貼ってくれました。長男はキッチンがきれいになったので帰るたびに一品作ってくれます。

料理の下ごしらえも習慣に。帰ったら揚げるだけ、味付けするだけなので効率的/After
料理の下ごしらえも習慣に。帰ったら揚げるだけ、味付けするだけなので効率的/After

 家庭力も家計力もアップ。これからは、子どもにお金の大切さを知ってもらうワークショップなどの活動にも力を入れていくそうです。

◯西崎彩智(にしざき・さち)/1967年生まれ。お片づけ習慣化コンサルタント、Homeport 代表取締役。片づけ・自分の人生・夫婦間のコミュニケーションを軸に、ママたちが自分らしくご機嫌な毎日を送るための「家庭力アッププロジェクト®」や、子どもたちが片づけを通して”生きる力”を養える「親子deお片づけ」を主宰。ラジオ大阪「西崎彩智の家庭力アッププロジェクト」(第1・3土曜日夕方)が2021年5月1日からスタート。フジテレビ「ノンストップ」などのメディアにも出演

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